萩本欽一さんの結婚秘話を含む「欽ちゃん物語」みたいなドラマが、小堺一機さんの主演でありましたよね。
何年前でしたっけ。
私は「欽ちゃんが結婚していた!」と大騒ぎになった時期をリアルに知っている年代ですから、「ああ、こんなことがあったのか」と懐かしく見ていました。
欽ちゃんの奥様はストリップ小屋の売れっ子ダンサーで、前座で出ていた欽ちゃんを可愛がっていた方。
縁あって一緒に暮らすようなったのでした。
しかし、売れはじめた欽ちゃんを見て「私なんかが居ては」とそっと家を出る。
「ふさわしくない」「足手まといになる」そういう気持ちで身を引いたのでしょう。
それを欽ちゃんは探し出してプロポーズ。
今に至るのだそうです。
あの頃はこうした自然な出会いで結婚に至るのが通常。
あるいはお見合いという形式的なもので、お互いの両親や仲人を通しての知り合った男女が結婚していたのだと思います。
あの頃の人は今の時代のように結婚相談所や婚活パーティー(東京では頻繁に開催される)なんかに頼って婚活をしなければなかなか結婚に至ることが出来ないなんて、誰が予想したことでしょう。
それはさておき、あの時代に克美茂という歌手がいました。
エイトマンの主題歌を歌っていましたので、そう言われると。。。と思い出される方もいらっしゃるでしょう。
はじめはロカビリー歌手としてデビューしたのですが、歌謡曲歌手に路線替えをしてからは紅白出場も果たしたような人です。
いわゆる大スター。
しかしその人気は続かず、それでもスター生活を始末できない克実さんは多大な借金を作り続けます。
キャバレー回りの仕事などで食いつなぐ克実さんを心から愛したホステスのある女性は、「離婚をするから結婚しよう」という言葉を信じて自分が先に夫と離婚をし、必死で働いて克実さんの生活を支え続けたのでそうです。
ホステスの収入では追いつかなくなりソープランドで働き、そうやって貢ぎ続けたその額は数千万円。
それでも克実さんは現妻と離婚はしません。
そんなある日、克美さんに再起の話が舞い込んできます。
10年ぶりの新曲発表。
その女性は絶対に離れないと心に決めますが、克実さんはその女性を邪魔に思います。
スキャンダルは致命傷です。
そしてとうとうキャンペーンに同行すると言い張ったその女性を、克実さんは殺してしまうのです。
キャンペーンに旅立った克実さんの車から滴り落ちる血と放つ異臭で、その事件は発覚します。
女性の遺体がそこから発見されたのです。
「妻子ある男が愛人女性から結婚を迫られ続け思い余って殺害したには同情の余地がある」と判決が下され、実刑10年が言い渡されました。
刑期の10年を送ること無く7年で仮出所しました。
「迫られ続け」とはいえ、数千万円も貢ぎ続けた女性の心は浮かばれませんよね。
いざ売れそうになれば、今度は邪魔者扱いって。
そりゃ妻子ある男性ですから「背徳的」ではあったのでしょうが、「離婚」をぶら下げてお金を引っ張っていたのですからね、克実さんは。
なんでそんな判決だったのかと、いまさらですが怒りが湧きます。
10年はいいのです、その「同情できる」という地裁の判断に腹がたつのです。
ただ、判決に従い罪を償ったとされる元受刑者の克実さんが、いま責められるべきものは何も無いのですが、欽ちゃんの結婚秘話を思い出して、欽ちゃんという人は心ある人だな、お嫁さんも流石の人だなと、そちらの方に心が打たれたのです。